作品紹介
憧遊錦(ショウユウニシキ)
【 - 憧遊錦 (読み:しょうゆうにしき) - 】
月夜の美しい森の中。狐は、池の中を優雅に泳ぐ魚に出会った。
月の光に照らされながら、錦のようなヒレをふわりふわりと動かして泳ぐ姿は
瞬く間に狐の心を奪った。
しかし、狐は水の中を自由に泳ぐことはできない。
どうにかあの魚と一緒に、湖の中を泳いで遊べないだろうか。
狐は試行錯誤して、少しでも自身がその魚に近づけるよう工夫した。
毛並みをヒレのように整えてみたり、歩く姿勢を変えてみたり、
時には風に飛ばされた綺麗な花びらの数々を沢山集めて
鱗のように貼り付けてみた。
しかし、水に入ると瞬く間に体に貼り付けた花びらは体から剥がれ
はらはらと水の中に消えていく。
しょんぼりと落ち込む狐に、小さな声が聞こえた。
「綺麗な花吹雪ね。あなたが連れてきてくれたのかしら」
振り向けば、流れていった花びらにまぎれて金魚が一匹。
ぱしゃりと輝く水面。憧れ続けた美しい魚が、話しかけてきた。
これは、金魚に憧れた狐と、狐に憧れた金魚の小さな物語。
金魚から、東の林の間でまほろのお祭りが開かれることを教えてもらった狐は、
沢山の金魚を見に行くために、目を輝かせながら月夜の道を歩く。
話によれば、輝くような金魚を見ることができるらしい。
心を踊らせながら、狐は光を放つ蜃気楼へと向かっていく。
特別な時期にしか姿を見せない金魚達。
艶めく出会いに、あなたも心躍らせることだろう。
【作品説明】
憧遊錦は、金魚をモチーフとして制作しました。
魚を主体としたモチーフを狐に落とし込んで制作したのはこれが初めてです。
①金魚に「憧れ」ている。
②金魚の「遊泳」する姿に心を奪われた狐。
③「錦」のような美しい姿の金魚に憧れたため、自身を「狐」ではなく「錦」と名乗るようになった。
という3つの裏設定を元に、『憧遊錦(しょうゆうにしき)』という、あえて"狐"という文字を入れない名前に決めました。
金魚は金運を呼び込んだり、蓄財に通じる縁起の良い魚とされています。
今回2回目のハイカラ雑貨店ナツメヒロさんでの『七夜月の金魚売り』に出展させていただけることとなり、前回出展させていただいたキツネ展とはまた違った雰囲気の作品を連れていけたらという思いで、造形や着色も色々と新しい技法を取り入れています。
首の部分と尻尾の部分は、左右に動かすことができる関節を仕込んであります。
可動範囲は大きくはありませんが、金魚が泳ぐようなポージングを表現して遊ぶことができます。
また、初めて体が濡れているような表現の仕上げを行っています。
尻尾や背びれには、ホログラムを入れているので、キラキラと光ります。
体の色のグラデーションも、角度によって赤よりも金色が反射してよく見えるように色付けを行いました。ゴールド・レッド・イエロー・クリアパール・ホワイトパールを使って、不思議なグラデーションに見えるように仕上げています。
狐の形をしていますが、金魚が集まる企画展の中に溶け込めるよう工夫して仕上がった子ですので、是非お楽しみください。
会期中盤から後半にかけて、黒い子も追加する予定です。
【お取り扱いなどにつきまして】
今回は関節の部分は透明ソフトプラ材を使用しております。
柔らかめのプラ材ですので、多少の衝撃は吸収しますが、
大きく負荷をかけると(踏んでしまったりすると)折れてしまう可能性があります。
もし、関節部分が不慮の事故で破損をしてしまった場合は、お気軽にもちや幸こうぼうのツイッター(@SATIKOUBOU)のDMへお問い合わせくださいませ。